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導入後インタビュー#08   株式会社アドヴィックス様

複数の量産ラインで部品供給を自動化
複雑な形状のダイカスト部品をピッキング

詳細を知る

ロボット導入までの概要


製造・加工ラインの自動化においては、人が作業や操作に関わる時間や回数を減らすべく、取り組みや開発が行われていますが、Mujinは従来のワークストッカーを使用している限りは発生する作業者による手作業を極限まで削減するため、パレットから直接加工ラインへ部品を投入する汎用ロボットを展開しています。
部品の形状や重量・バラ積みの状態・求められる配置姿勢などによって難易度は変わりますが、国内最大手のブレーキシステムサプライヤーである株式会社アドヴィックス様に採用いただいたMujinのロボットは、複雑な形状のダイカスト部品を網パレットから直接加工ラインのローダーに供給するという高難易度の搬送自動化を実現しています。
現在では複数の量産ラインにおいて部品供給を担い、これからの製造自動化における部品投入の在り方のひとつの形を示しています。

エンドユーザー
エンドユーザー

株式会社アドヴィックス様

ロボットコントローラ
ロボットコントローラ

Mujinコントローラ

ロボットアプリケーション
アプリケーション

バラ積みピッキングロボット

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01. 課題

ワークストッカーでは難しい
人の介在のない自動化をどのように実現するか

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ピッキングの対象となった複雑な形状のワーク
“ワークストッカーのための人手作業も完全に削減するためにはどうすればいいか?”

サプライチェーン全体を見渡した効率化を進めることは重要ですが、影響範囲が広く取り組みが長期化することは否めません。一方で現在使用している設備をそのまま使用しながら、これまで自動化が困難であった工程に、いかに対応するかも大きなテーマとなります。株式会社アドヴィックス 渡邊様に自動化に対する考え方と、Mujinのロボット導入に至った経緯を聞きました。


渡邊様:
「自動化」を進める際、上位の方針には「工場の無人化」という目標が掲げられます。まず加工ライン自体の自動化が主に進められていくわけですが、工場全体を見渡した場合、どうしても粗材に関わる工程の自動化が進んでいないのが現状です。仕入れ先と共に取り組み、通い箱化を進めていくという流れもあるのですが、仕入れ先の工数や運搬効率を鑑みると実はハードルが非常に高くて、やはり効率の良いパレットでの納入というのを変えられない実情があります。

その中で自動化を進めていく必要があるわけですが、これまでは一般的にワークストッカーのような機器に人がワークを並べて、それをロボットに取らせるといった手法が取られていました。どうしても人が介在せざるを得なかったというのが実情で、解決方法を模索していたところ、岡谷鋼機様のご紹介もあり、展示会でMujinのデモを初めて見ました。これならワークストッカーも使わず自動化できるなと可能性を見出したのがきっかけでした。

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02. 解決

Mujinコントローラピッキング品質が課題を解決

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“モーションプランニングによるティーチレスのロボット制御が素晴らしいと感じた”

展示会でのMujinのデモが導入のきっかけでティーチレスのロボット制御やセットアップの簡便性に利点を見出したという渡邊様。失敗を恐れず新しい取り組みにチャレンジしていく社風がプロジェクト進行の後押しになり導入を決断されたそうです。


渡邊様:
実装までの期間はそれほど長くなかったのですが、モーションプランニングによるティーチレスのロボット制御が素晴らしいと感じたことに加え、ペンダント上ですべてセットアップできるところも大きな利点でした。

会社の方針としても、新しいことにチャレンジさせてもらえる環境ということもあって、当然新しいものに対するリスクというのも踏まえた上で、上司の後押しもあって導入にいたりました。

導入に際しては、ロボットの動作自体には問題はなかったのですが、実は一番難しかったのが、複雑な形状のダイカストのハウジングを掴むチャッキングの仕様でした。最終的に現在の形に落ち着きましたが、Mujinコントローラの利点を活かすために、3Dビジョンやハンドの進化が加速していけば、より用途が広がっていくと思います。

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把持が難しい粗材も正確にピック
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そのまま直接ローダーの治具に配置
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03. 運用

リモートメンテナンスでのサポート体制を構築
利用範囲を3ラインに拡充しても安定運用

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株式会社アドヴィックス 浅野様
“調整箇所が少なくて済むティーチレスの恩恵と、リモートですぐに状況を見てもらえるサポート体制に助けられている”

今後の自動化に向けて試験的な要素もあった1号機の導入後、同様の加工ラインへ立て続けに2号機・3号機の導入するに至った本プロジェクト。その後の運用状況も知る、株式会社アドヴィックス 浅野様にお話を聞きました。


浅野様:
運用においては、リモートで状況を見てもらいながら、直接担当の方とやりとりさせてもらっているので、調整やパラメータの変更もスムーズに行うことができています。現場での管理という面でも、ロボットの動作はティーチレスという恩恵もあり、調整箇所が少ないですね。芯出しひとつとっても短時間で済みますし、エラーからの復帰が早いという利点もあります。

用途こそ違えど、これまで導入したロボットにおいては、復旧まで半日以上かかってしまったり、ティーチングをしなおさなければならないケースもあり、社内で対応しようと思うと、特殊技能となるティーチングに対応できる人材を育てないといけないのですが、間に合っていないというのが現状です。その中では、ティーチレスでロボットを操作できるというメリットは大きいと思います。

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04. 今後のビジョンについて

Mujinコントローラの汎用性を活かし
ロボットを軸にした生産性の向上を目指す

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株式会社アドヴィックス 渡邊様
“汎用性を、AGVとの連携、複数ラインでの利用、別部品への対応などに活かす”

ロボットによる加工ラインへの粗材投入を自動化し、複数ラインへの導入に至った同社。導入したからこそ見えてきた、Mujinコントローラ活用の道筋について聞きました。


渡邊様:
結果として、部品のピッキングから治具への配置のマシンタイムは、当初計画時間より大幅に短縮できました。

現状は順次ロボットを増設していった結果、3ラインに3台のロボットを導入していますが、1台で複数ラインに対応する仕組みも検討して、投資効果を出していければと考えています。またMujinコントローラの高い汎用性を活かして、ツールチェンジを活用して違う製品にも使用することができますし、今後は生産性の向上とコスト面の利点を見出しながら、最大限能力を活用できるよう取り組む必要があります。

現状は複数のパレットを循環させる仕様のため、専用の機器を導入しましたが、今後はAGVでロボットの場所までパレットを搬送することも見込んでいますので、AGVとロボットが連携する自動化も本格的に動き始めると思います。

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製造現場における実際のロボットの動作を動画で見る