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導入後インタビュー#01   株式会社キッツ様

知能ロボット導入で
バラ積みピッキングの自動化に挑む

詳細を知る

ロボット導入までの概要


バルブ製造メーカーとして国内トップシェアを誇る株式会社キッツ様。製造現場における“革新”と“挑戦”を理念に掲げる同社は、残業時間の削減と人材の有効活用のために、自動化における難関工程である、バラ積み部品の後工程への自動投入を検討されていました。解決への模索が続く中、Mujinコントローラに白羽の矢が立ち、同コントローラの「ティーチレスバラ積みピッキング」「自動干渉回避」「ワンタッチ原点復帰」「ロボットの特異点回避」などの特性を活かし、三明機工様によるインテグレーションにより製造ラインへロボットを導入へと至りました。

エンドユーザー

株式会社キッツ様

インテグレーター

株式会社三明機工様

ロボットコントローラ
ロボットコントローラ

Mujinコントローラ

ロボットアプリケーション
アプリケーション

バラ積みピッキング

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01. 課題

バラ積み状態・複雑な形状のワーク・投入姿勢の精度・既存設備の利用

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バラ積みピッキングの対象となった複雑な形状のワーク
“バラ積み状態の部品をバリ取り機へ自動供給するには課題が山積していました”

バラ積み部品の後工程への自動供給を実現するためにクリアしなければならない課題は多く、同工程の実現に3年以上の期間を要したという株式会社キッツ茅野工場 M様にその難しさを語っていただきました。


M様:
当社は製造メーカーですので、原価低減への取り組みは常に必要とされています。今回ロボットを導入した工程では、残業時間が非常に多かったということもあり、労務費の削減にもつながる取り組みを検討していました。人手に頼っていた作業を自動化すれば、当然削減した工数を他の作業にまわすことができます。

同工程の自動化は難しく、検討は3年以上前からおこなっており、展示会などにも足を運びました。しかし、導入のためには整った条件の中でないと利用できないものが多く、また取り扱っている部品が銅素材でマグネットハンドが利用できない上、後工程のために投入姿勢の精度も求められるというのも状況を難しくしていました。さらに重要な条件としては、バラ積みピッキングという難題をクリアしつつも、 元々工場で使用していた台車などは、そのまま利用して自動化を実現したかったという事情もありました。

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02. 解決

Mujinコントローラピッキング品質が課題を解決
リモートメンテナンスでのサポート体制を構築

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“ロボットがティーチレスで稼働するのは画期的。「この品質なら導入できる」と確信しました”

本件のインテグレーターである三明機工様にてセットアップされたロボットの動作を見て、導入の決断を下したというM様。製造現場のイノベーションを推進するキッツ社の理念も導入を後押しとなったそうです。


M様:
三明機工でのテスト動作を確認して、「この品質なら導入できる」という判断に至りました。チャレンジングな取り組みには当社のトップも積極的ですし、将来を見据えると必要な取り組みだと考えています。

Mujinコントローラを利用する中で、ティーチレスで稼働するのは改めて画期的だと実感しました。ロボットの作業エリアやワークの投入条件、障害物などの環境条件の入力のみで動作するというのは興味深かったですね。

またアフターフォローもしっかりしていると感じており満足しています。問題があっても電話連絡だけで解決できているし、原因をデータから読み取れるということで、リモートメンテナンスでの調整をお願いした結果、問題も解消され機能が向上しました。

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深い台車からでも正確にワークを把持
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指定の投入姿勢でワークを配置
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03. 運用

簡単な操作のみで3サイズ13品種のワークを運用中

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株式会社キッツ 茅野工場 I様
“現場での対応にも混乱はなく、想像以上にスムーズに利用できています”

三明機工様でのテスト終了後、設置開始から3週間程度で稼働を開始した同ピッキングロボット。その後の運用状況も知る、株式会社キッツ 茅野工場のI様にお話を聞きました。


I様:
現在はメインの担当者をはじめ3、4人で運用していますが、操作はカスタマイズされたタッチパネル式の制御盤に簡略化されていますし、操作の研修を経て問題なく使用できています。従来から利用しているロボットは問題があった場合、原点復帰をさせて再稼働するまでに煩雑な操作を必要としていましたが、今回導入したロボットは簡単な操作だけで、誤操作もなく復帰できるのでありがたいですね。

また3サイズ13品種あるワーク(2018年7月現在)に応じて、ハンドのツメの切り替えなども自社内で対応していますが、簡単な設定だけですので問題なく使いこなせています。マシンタイムの短縮には今後も期待していますが、実のところ今回の取り扱ったワークは形状が複雑で比較的難易度の高いものでしたので、その供給の自動化を実現できたのであれば、他の工程にも導入できると思います。これまでの運用でロボット利用のコツも現場で掴めてきましたし、ハンドのツメを調整したりなど、こちらからも意見を提示しながら、より良い形で利用してきたいと考えています。

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04. 効果

ロボット導入により残業時間の削減大幅な省人を実現

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株式会社キッツ 茅野工場 M様
“ロボットの導入によりピッキング工程において大きく省人することができました”

前述の通り、残業時間の多さが問題となっていた同工程。バラ積みピッキングロボットの導入による省人効果について伺いました。


M様:
主にワークを積んだ台車の交換と制御盤でのロボットの操作には人手がかかりますが、これまでと比較して 必要な人手は4分の1程度になり、残業時間の削減にも繋がりました。

今後の期待としては、現在も導入後の調整などを経て動作サイクルが止まることはあまりありませんが、いずれ全く人手がかからないレベルまで精度は向上して欲しいです。またマシンタイムの短縮はもちろん、バラ積みからプレスの金型にダイレクトに投入するなど、機能の向上と多様化にも期待しています。

ただし全体のコスト感としては現状も満足していますし、後継機の導入も検討する中で、当社と三明機工・Mujinで三位一体となり理想を目指していきたいですね。

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製造現場における実際のロボットの動作を動画で見る

インテグレーターの声


  • 三明機工

    株式会社三明機工 柴様のコメント

    キッツ様の案件は、三明機工にとっても非常にチャレンジングな取り組みでした。なぜなら、ロボットにバラ積みピッキングをさせるだけではなく、後工程となるバリ取り機へのワーク投入姿勢の精度を求められたからです。しかし、Mujinコントローラを活用することで解決が見込まれ、キッツ様への導入が決まりました。また、深い箱からのピッキングとなると、ロボットアームが一直線になり動作できなくなる 「特異点」の回避が必須なのですが、Mujinコントローラでは、その問題も解消できるのも大きな利点の一つとなりました。

    先に挙げた通り、ワークを投入した先には、次の工程が待っています。間違えた姿勢で投入されてしまうとサイクルが止まってしまうため、ワークの投入姿勢の制御には最後まで苦労しましたが、ロボットの動作の精度を上げるとともに、製造ラインで使用できる仕様の策定を経て、この度の形で納入に至りました。エンドユーザー側の操作を制御盤に簡略化するなど、原点復帰をはじめロボットの様々な動作を自動化しているMujinコントローラのユーザビリティーの高さも活かすことができたと思います。

    難易度の非常に高かった本件を達成できたことは、当社にとっても知見を深める機会となりましたので、様々な現場にバラ積みピッキングロボットを利用いただける可能性を実感しました。